駒込の路面で商売をはじめた小松庵が、駅ビルの中にはじめて出店したのが、このメトロポリタン池袋店です。ここで、たくさんの合理的運営を学びました。と同時に、私たちの存在そのものを深く考えるきっかけになりました。ここでも、背中を押してくださったのが、お客様です。「この味ならこの値段で、必ず売れるようになる」こんな予言をしてくれた方がいます。
周りの店は満員なのに、うちには客が一人もいない、そんな頃です。駅ビルに高品質の蕎麦はあまりありませんでした。私たちは、そこを目指していました。そうこうしているうち、勝手に小松庵ファンクラブを立ち上げる方、ご自分の店のように小松庵のことを心配してくださる方などがあらわれ、お店が賑います。のちにご自分の娘さんを「小松庵で躾てくれ」とアルバイトをさせたお客様もいます。その娘さんももうお母さんです。親子三代のご縁になりました。息子を就職させるお客様も出てきました。池袋の味は、こんなたくさんの人たちの想いの結晶です。