私たちの修行

蕎麦と師弟という関係

小松庵の教育は、あえて言うなら師匠と弟子の関係が基本です。師弟という関係の優れたところは、まず弟子が何を学ぶかの前に、学ぶ姿勢を学ぶところです。この姿勢が身につくと、弟子が自ら問題意識を持って成長してゆきます。もともと弟子が、師匠を超えることを想定しているのです。しかも、師匠もその道を究める一員ですから、弟子との関係も一方通行ではなく、共に学ぶという対称的な関係が保たれています。そしてもうひとつ、小松庵の伝統には、伝えたり考えることを蕎麦の技術伝承だけに限定しないこと、というのがあります。昔から、小松庵の研修では、共に走ったり登山をしたり、読書、音楽を聴く、食事も共にしながら話し合う、が基本でした。なんだか、ただ遊んでいるようですね。しかし、これは自信を持って言えますが、これなしには、今の小松庵は無かったと言い切れます。今、小松庵で働いている人はすべて心のどこかに、この研修で得られた共感が支えとなっているはずです。

私たちの修行

「蕎学舎」編